セブン&アイHD内紛劇が想起させるもの
昨日、セブン&アイHDの鈴木CEOが辞任しました。晩節を汚した世襲とガバナンスの問題が主因と言われています。
セブン&アイHDの前身であるイトーヨーカ堂創業者一族の伊藤雅俊氏は低姿勢で謙虚な経営者として知られ、鈴木敏文CEOとは対照的な人物ですが、両者は企業の成長期に沿ってそれぞれ実績を上げ、双方の関係も良かったと言われています。
しかし、鈴木敏文CEOは次男を異例の人事で抜擢し、彼の将来の地位を築くべく布石を打つ人事を画策。それを役員会が否決して鈴木CEOは辞任せざるを得なくなりました。鈴木CEOは人事で晩節を汚し、一方で役員会はガバナンスを効かし、現在のセブン&アイHDの礎を築いた創業者一族の理念に軌道修正したように見えます。しかし、鈴木CEOを支持する役員もおり、今後の役員人事で一波乱あるかもしれません。
我々グループの一員に、かつてセブン&アイHDの要請を受け部下を社外派遣した者がいます。派遣中、鈴木CEOが毎月主催する全国の支店長会議を垣間見る機会があり、席上、鈴木CEOは支店長を人格否定するような言葉で叱責罵倒し、支店長クラスは何も言える雰囲気ではなかった、と報告してきました。
一般にはメディアでしか彼を知る機会が無く、いわゆるカリスマ経営者として見えるわけですが、その裏にはワンマン経営者という姿も有るわけです。その典型が次男の異例の人事でしょう。周囲は異見を言えずにいたわけです。しかし、このワンマン経営者はそれで晩節を汚す事になりました。
前置きはこの程度にし、この辞任劇から想起させるものに触れてみましょう。
三和小川店の転倒事件直後、S支店長の上司であるB執行役員(エリアマネージャ)は被害者に「二日以内にこの事件の窓口担当者(役職クラス)を選任し連絡する」と約束しました。しかし、数日経っても連絡がないのでB執行役員の携帯に電話を入れたところ応答がないばかりか、携帯の電源も切って逃げ回る始末。挙句の果てに約束を反故にして弁護士名で「三和に責任は無い」と文書を送り付けてくる有様だったわけです。
執行役員の役職にあるものがこのような対応をとるのは何故か? これは推定に過ぎませんが『社長が怖くて報告にも相談にも行けない。』『平役員の立場でどうしてよいか自分で決められない』・・・等々、流通同業の(格は違いますが)セブン&アイHDの鈴木CEOと三和HD代表取締役小山克己社長の顔が背景でダブってくるのです。
三和HD代表取締役小山克己社長の「地域と共に成長する企業でありたい」という言葉が空しく聞こえます。何故なら役員や支店長クラスがお客様を気にせず、トップマネージメントの顔色を気にしているからです。
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